2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

讃美歌に和す鳥声や復活祭 はるみ

むかし、フランスの田舎の行けども行けどもジャガイモ畑を走っていると、遠くに十字架が見えて、それが村に近づいたしるしだった。どんな小さな村にも教会があって、通り過ぎるとまたジャガイモ畑があって‥‥。 軽井沢の星野温泉の近くに、ちょうど、そんな小…

すかんぽや子供の覗く水溜り はるみ

1998年、この俳句を作った時、私は山荘で5歳と3歳の兄弟に笹舟の作り方を教えた。鋭い笹のふちで指を切らないか心配したが、彼らはこの遊びに夢中になってしまった。でも、なかなか水に浮かばない。あえなく浸水したり、横倒しになったりする。この年…

遠き世の楽の音洩るる貝合せ はるみ

机の抽出に忘れていた父のパイプを見つけた。手のひらに乗せてみたが、もう煙草の匂いは消えている。けれど、そのブライヤーパイプを見たとたん、パイプ煙草はもちろん、時折喫っていた葉巻の匂いまでありありとした。 机のそばに飾ってある父の写真は、商社…

伝言板に猫の手配書花ぐもり はるみ

昔々、駅には伝言板というのがあって、それを読むと短編小説のような味わいがあった。「2時間待ちました。今日はかえります。日にち間違えたのかな? M.K.」に可憐な少女を思い浮かべ、「健太、俊介先にいくぞ。例の店。R.S.K.D.」これは運動部の仲良しかな…