ままごとの母わがままや赤のまま はるみ

先日、娘夫婦の友人と田舎の週末を一緒に過ごす機会があった。そのお嬢さんが2歳で可愛い盛り。木の積み木をしていたので、隣で見ていたら、「これ、一緒にしていいのよ」と誘ってくれる。まんまるの目や長い睫毛が天使のようで、12歳の孫娘もみんなもすっかり夢中になっていた。
すると、飼犬のゼン君が積み木のところにやってきて、さり気なく崩して行く。「あれ、皆さん、この間まで僕が一番だったんじゃないのですか。」といいたそう。2歳も飼犬も愛されているもの独特の、人はみんな私に優しいという思い込みがあるらしい。
ある日電車の中で、本を読んでいたら、隣から親子の明るい朗読の声がきこえた。「ネズミ君のチョッキ」というお話で小さなネズミ君のチョッキが回り回って、伸びに伸びて、最後はゾウさんが着るお話。ふと見ると、2人は本の朗読をしているのではなくて、暗記している程大好きな本を、1行ずつ代わりばんこに言っていた。
なんて幸せな風景に隣り合わせたことか、私がそれを読み聞かせた遠い日々が蘇った。