八月の相語りゐる遺影かな はるみ

今年の台風は気ままにやってきて、家や学校、農家の大切な作物を台無しにしていく。今夜も13号というのが本州に上陸するらしい。庭の花々も明日か明後日ひらく蕾がたくさんあるけれど、きっと明日は倒れた花や小枝の後片付けに追われることと思う。
これが農家の作物や果樹園の桃や葡萄と思うと、どんなにやりきれない思いがするだろうか。ニュースで見ていても、残念で腹立たしい様子が見て取れて、何の力にもなれないのにやきもきしてしまう。
そんな嵐の前触れの中、ふと思いついいて、中学やら高校やらの同級生とお茶の時間を持つ事が出来た。変わりなく元氣なことを確認しただけれど、友人が元氣というだけで、穏やかな気持ちになれる。
そして急に無言館の絵のことを思い出した。無言館に行くと、いつも胸の詰まるような思いで出て来るが、もし、あの絵に描かれた少女や青年、家族が無言館の中で語り合っていたら、そんな事をふと思うのも、台風の前触れの樹々の騒めきのせいかも知れない。