向日葵や国境守る兵若き はるみ

ドイツのノイシェバインスタイン城に2度ほど夫の車の運転で行ったことがある。その裏の鬱蒼とした森のなかに、小さくて簡素な国境があった。私たちの通った時には暗いしめった森に、太い道を閉鎖する木のゲートが開いていて、国境を守る兵士はいなかっったが、すぐ近くの城主が身を投げて自死した沼のような池が引き込まれそうに暗くて怖かった。
一方、オーストリアからスイスへの国境は、草いきれのする牧草の広がった明るい道路で、警備が殊の外ものものしく、まだ若い兵士が銃を手に数人いて、きびきびと検査の任に当たっていた。車のシートを外させたり、トランクの入念なチェックをしていた。麻薬などの取締りだと云う。親子4人連れの私達は何も咎められなかったけれど、シートを外された車に子供たちは興味しんしんだった。
今ヨーロッパ諸国は一つの経済圏となり、国境のチェックがなくなった。昔、列車に乗っていて国境を越えると車掌さんがパスポートのチェックに来たのが懐かしい。