声がはりせし少年や初嵐  はるみ

 私にとって4番目の孫がこの夏オランダの友人宅に出かけた。学校友達のお宅にうかがったと聞いていて、どんな経験をしたのか、他所のご家庭で礼儀正しくふるまえたのかしら、などと余計な心配をしていたけれど、まず、メールの動画で、帰国した彼に飛びついている子犬とのやりとりを見て一安心した。どうやら、素敵な度だったらしく、全身からいきいきした様子がみてとれた。そして会ってみると、なんと彼は短期間の間に一気に背が伸びていて母を追い越していた。しかも旅の報告をする声のトーンが低くなっている。
 娘しか育てていない私は、他所の少年が久しぶりに会った時、声が変わっていて驚いたことはあるけれど、身近に声を聞くと、「もう、彼は青年へのスタートを切ったのだ」と納得した。
 夏休みは子どもが少女に、少年が青年になる季節かもしれない。
 山荘での毎日、家族の誰かが食後のお皿を洗うのが我家の習慣だけれど、台所に立った彼がすっかり大人で、そのことにも少し涙ぐみそうになった。歳をとった証らしい。