雪止みで背に睦む鳥の声  はるみ

 建国日の前日、山の家に7人の来客があった。週末の金曜日世田谷でテニスをしていたら雪が降ってきたので、早めにやめて、長野に向かった。日本海側の鳥取県は90センチの雪と報道されているが、長野は60センチほど。都会から来る若者たちには、ほどよい雪の量と思う。
 けれど気温は−14度、運転は大丈夫かしら、と気が揉める。夜中、13時半、元気に到着。ワインを飲んで明日はスノーボードで8時発です。と元気に宣言される。
 翌朝はおだやかな雪晴れで、空はあくまで青く、暖房で屋根の雪が溶けてできた氷柱がキラキラと、軒先に光っている。両開きの雨戸を開けると、氷柱がバリバリと折れる。見た目は美しいが、言ってみれば、数本のナイフが地上に落ちたのと一緒。うっかり触ればてのひらが切れてしまう。
 居間のすぐ前の辛夷の木に青い小鳥が、チュクチュクと鳴いている。後ろの木々からも鳥声がしきり。でも、きっと今回泊まった7人の青年たちは、ひとりもその声を聴いていなかったと、思う。鳥の声に耳がさとくなるのは、年のせいか、俳句に親しんでいるからか、自分でも決めかねている。