渓流の見ゆるバス停鳥の恋  はるみ

 明日は立春というのに、毎日雪の被害ばかりがニュースになっている。いくら粋がっても、なかなかコートが手放せない。それどころか、みんな、マフラーとマスクでガードしている。マスク美人が増えて、電車の中の景色はそれなりにいいけれど。早く、コート脱ぎたいな。
 この間、ある会合で着物をお召しの方に「洋服とどっちが暖かいですか」と聞いていらした方がいる。「もちろん、着物ですよ。絹にくるまれているんですもの」と答えていらしたが、近頃は年配の方の着物がへって、若い人の着物がやや増えたような気がする。この間は普通の娘さんが思いっきり衿を抜いてて、少しおどろいたけれど、母親も着物をきる機会がないし、無理もない。
 お蚕包み(おかいこぐるみ)と言う言葉がわかる人がどのぐらいいるかしら、着物に絹や木綿があって、洋服のドレスコードのように、厳しく着る場面が決まっていることなど、昔々のお話になってしまった。
 そういえば、その和服の方から伺ったお話。「お年玉など、お金をあげるのは下品なのよ。」と、きっとこの方は間違いなく、お蚕包みでお育ちだったに違いない、とひそかに思った。
 あ、マスク美人のほかに、「目病みおんなに風邪ひきおとこ」って言葉もあった。