草も樹も息ととのふる白露かな  はるみ

 久しぶりに神奈川近代文学館に出かけました。7月の末から始まっていた「まるごと佐野洋子展」が9月27日で終わってしまう、と気にかけていたら、横浜の孫娘が泊まったので、送りがてら一緒に行くことにしました。彼女とは、時々絵本の展覧会や人形博物館に行ったり、元町を散歩したりします。この企画はとても年齢差のある2人にぴったりなのです。
 私はもともと猫や熊が主人公の絵本は好きだったことと、この作家の繰り返し語られる幼少期からの実生活のエッセイや晩年の『シズコさん』などのを愛読していたので、作者のまるごとを知りたいと思いました。
 秋の横浜は天高く秋気澄み、夕風もほどよかった。港が見える丘公園の奥、文学館で私は作家の交友関係に触れ、孫娘は『100万回生きたねこ』や『おじさんの傘』などの絵本の原画を楽しみました。
 お決まりの「芸亭茶房」(うんていさぼうと読みます。うんていは香料の一種で本にはさんで虫よけにするもの)でお茶をして孫娘を近くの父親のオフイスに届けて別れました。
 実は佐野洋子さんには生前2度お逢いしていて、1度は若い頃、雑誌の取材でご自宅に伺いました。自然体の方で何をインタビューしたのか忘れましたが、「私はこんなにすごい」という感じの一切ない方でした。
 2度目は多分北軽井沢にお住まいの頃、軽井沢で何回か続いた古い映画をフイルムの映写で観る会でした。どなたかの紹介で映画の話をしました。
 文学館の館内では2度目の結婚をされた谷川俊太郎さんとの対談の様子が流れていて、その話し方を聞いていて、相手によって態度の変わらないことは、なかなかだと思った午後でした。