二ン月の修羅ぬけてきし十二歳  はるみ

 数日前、電車の中で本を読んでいたら私の肩に頭をのせて熟睡している少年がいた。よほど眠いに違いないとそのままにしておいた。新宿を出てすぐに気がついたけれど、いくつも駅を通過するのに寝息は途切れない。あと2駅で下りなくちゃ、お隣は何処まで行くのかしら、と少し心配した。
 すると「あの、もたれて寝ちゃってましたよね。すみません」と隣から声がした。「試験なの?」と尋ねると「はい」という。多分この少年はこの何日か、夜中まで勉強する日日が続いたにちがいない。黙礼して元気に下りていった。
 そのことがあった翌日、本棚を整理していたら、娘の手紙の中にこんな詩?があった。俳句によんだ娘の次男が十歳の時、学校で作ったらしい。つい、手を止めて読んでしまった。本人は覚えているだろうか。

  トイレそうじ

 休みの日オレのそうじ分担はトイレだった。
 オレとしてはそうじきがしたかった。
 けど、お兄ちゃんにとられた。
 妹は洗面所みがきだった。
 まあいいか。
 シーツ交かんよりましだ。
 さてやるか。
 まずは
 洗剤を便器の内側にふんしゃした。
 OK
 これでよごれが落ちやすくなるのさ。
 かたくしぼったぞうきんで
 まず洗面台をふく。
 次に棚、トイレのふた、そしてその内がわ。
 次が問題だ。
 便座を上げて
 丹念にうらと便器をふく。
 ふたとこまかいすきま、小さなねじ、全部ふく
 いよいよフィニッシュだ。
 ブラシでこすって水で流す
 任務完了。
 すばらしく美しいトイレだ。
 誰もよごすなよ。