飛魚の鳥になる夢夕茜 はるみ

 久しぶりに叔母から電話があった。従兄弟が6月3日に亡くなって、昔のことがいろいろ思い出されたと言って、私の知らない親戚の消息が知らされた。
 だんだん、年上の親族が向こうの世界にいってしまって、その度にアルバムの整理を急がなくては、不用なものを捨てなくては、と心がせく。
 18年前、母が亡くなった時はやはり連日の猛暑で、病院から帰ると、足元がふらついたことを思い出す。きっと今でいう、かるい熱中症だったのかもしれない。8月30日に亡くなって、そのあと、葬儀の夜は喪服のままソフアに倒れこんで眠ってしまった。後日、牧師さんのところにご挨拶に伺うと、やはり、あの日は書斎で着替えずに寝ました、とおっしゃっていた。海外にたえず出張されていたので、母の葬儀は体力ぎりぎりでいらしたに違いない。母の家の後始末に次女の運転で毎日通い、私の時は身辺をさっぱりさせたい、娘たちにこんな事をさせたくないと思っていたのに、近頃はつい、本や植木を買って物をふやしている。
 東京は今週は35度が連日続くらしい。この猛暑と叔母の電話が、はからずも母との色々なことを思い出させてくれた。あの気持をもう一度強く持って、秋には身辺の整理を始めよう。
それにしても、気温が思い出を呼び戻すスイッチというのが意外。