坂の名に伊達や南部や走り梅雨 はるみ

 今年は例年より早く5月の終わりに梅雨入り宣言があった。この季節になると、なぜか決まって思い出す事がある。昔々、結婚して半年ほどたったある日、夫の父から一通の手紙が届いた。季節の挨拶のあと、「ところで家にひよこが生まれました。裏庭を元気に歩いている様子がとても可愛い。野良猫に狙われないよう気をつけていす。」とつづき、父とは思えないひよこ達のほほえましい描写がつづく。生真面目な義父にこんな一面があったのかと思ったら、「ところで、そちらは如何?」とあった。(う‥‥‥‥ん、それが聞きたくて)、考えに考えての便りだった。
 また、ある時、やはり「家の目高が孵りました。数えようとしても動きまわって出来ません。多分17、8匹でしょう。ところで、そちらは如何?」とあった。今なら、こんな便りをしたら、大変なことになると思うけれど、当時はそんな時代だった。
 今でも、かるがものニュースや目高の話題がでる度に義父の苦心の末の「如何」が思い出される。