辰雄なきあとの追分萩の風 はるみ

 季節の終わりはいつも心が騒ぐけれど、今年は殊の外、心細い気がしてならない。軽井沢の庭は、花魁草、たいまつ草などがすっかり影をひそめ、鳥兜や水引草が取って代わり、薊の紫色、継子の尻拭いのあざやかなピンクが秋たけなわを告げている。花の色の鮮やかさが少し眩しい。私がいなくなったあと、娘たちはこの花々を眺めてくれるだろうか。
 そんなある一日、夫の大学時代の二組の友人夫妻と会食の機会に恵まれた。互いに歳を重ねたもの同士の会話は、ゆったりと、かつ刺激的で、自然の秋の力に弱気になっていた私を元気にしてくれた。