花の山かなたに葬りの煙り立つ 岩永はるみ

 5月の軽井沢で一週間を過ごした。東京と違って桜は八分咲き、はるかな雪山との調和を言葉に出来たら、いいのだけれど。昔、高遠の桜を見た時の葬りのうす煙りを思い出した。そんなこと思ったのは、長く句会をご一緒していた方の突然の訃報に接したからかも知れない。尾根に雪の残る春の山々は、いろいろなこと考えさせる。
 ところで、今、軽井沢はリスが大忙し。胡桃を埋めた場所を忘れてしまったのか、差し交わした枝から枝へ忙しくいったり来たりしている。その間に鳥たちのまだ幼い鳴き声がする。窓の外を見ると、身体の方も小ぶりで、人間なら15、6歳といったところ。もしかしたら、小学生くらい‥‥かしら。
 やっぱり「私の田舎はいい」と言ってみたいな、東京生まれの独り言です。