手の届くところに書棚灯涼し  はるみ

 木下夕爾の詩集と句集を大切に硝子戸のついた本棚にしまっていた。けれど、ふと考えてみると、あちらの世界にお引越しをする日もそう遠くはないし、すぐ手の届く書棚に移した。すると、手にする機会が増え、夕爾の手作りのインクはどんな色かしら、などと考えたりする。
 私は明るいブルーが好きだけれど、明るいなどというのも、主観だから、どうだろうか。紫陽花の季節、様々なブルーに思いを馳せてみる。