相生の一樹切らるる寒さかな  はるみ

 ご夫妻で俳句を趣味にされていた方がご主人を亡くされた。生前できるだけの事はして差し上げたので、悔いはないときいていた。ひと月ほどで小旅行にも出かけ、溌剌と日々を過ごされていた。心を尽くして見送れば、案外さらっと普通の日常を取り戻せるのかと、ひそかに、ほっとしていた。
 それから、半年ほどたったとき、「近頃つくづく淋しいのよ。」とふと漏らされた。答えようもなく、お二人の過ごされた年月の重さを思った。しばらくたってからの方がつらいかもしれないと思う。
 思えば、私たちのしあわせは、人とのつながりこそが財産かも知れない。
 この頃、クラス会や同窓会の通知がくると、必ず出席している。次の機会に私が元気でいられるかしら、そんな気がしてしまう。